ビデオアートを中心に個人映像とその表現を検証し続けた「無礼講にする」が、新しい局面を迎え再スタートいたします。
主催者であるSVP(Spread Videoart Project)は組織を一新し、佐藤博昭と中沢あきを中心に、これまでの活動を発展的に継承しながら新たな可能性を模索していきます。また、これまでのメンバーともプログラム単位で、または作品単位で協力関係を作り続けるつもりです。
1997年より定期開催を続けた「無礼講にする」は、ビデオアートにとってひとつの重要な「場」であったと自負しています。その活動は大きなムーヴメントではなかったとしても、個人映像作家の集団としては、重要な成果や発見がありました。何が問題なのかを提起し、多くの言葉をぶつけ、今後の展開を自ら期待し、実践してきたつもりです。 今後は、活動の協働や「無礼講」のターゲットをこれまでの映像作家間に限らず、例えば映像教育、地域活動といった、広く持続可能なものにも向けていきたいと考えています。もちろん、そこにはアートが不可欠です。
プログラムは大きく3つに分かれます。テーマは、大きな円の外周とその核という関係を設定しました。外周に相当するのは「日本の○○」、ドキュメンタリー、ジャーナリズム、映像表現の3つに、その内側の円は分割され、3つのプログラムに対応します。核は「ビデオアート:その愛と孤独と情熱と」です。 |
新作テーマプログラム「日本の○○」
「日本の○○」短編プログラムは、学生作品を中心としたプログラムです。このテーマでの作品制作を呼びかけ集まった新作と、日本について語られた様々な試みを集めてみたいと考えました。
ジャーナリズムとドキュメンタリーから考える「日本の○○」
フランスのジャーナリスト、Brice PEDROLETTI氏は最新作『NEW LIFE』で日本の映画監督が描く日本固有の人間関係をピックアップしています。一方、新聞記者で映像作家の吉岡逸夫氏が『人質』で提示するのは、報道と一般市民の態度、その被害者との歪な関係です。先のイラク人質事件の当事者のひとり郡山総一郎氏のインタビューを、吉岡氏のイラクの映像と共に再構成します。
映像作家からの回答その1:佐藤博昭、中沢あきセレクションプログラム
佐藤は「ビデオアート:その愛と孤独と情熱と」、中沢は「あかるいひきこもり」をテーマに作品をセレクトします。
「ビデオアート:その愛と孤独と情熱と」では、あらためてビデオと"私"との関係を問いかける作品を取り上げ、「あかるいひきこもり」では平坦な日常をどう生き抜いていくかということについて、作品・作家と共に語っていきます。
映像作家からの回答その2:山口卓司『失われたひのもとへ』(肉声付き)
山口卓司が2003年に一度だけ発表した作品です。これまでも「日本」と格闘してきた作者が、映像上映という枠を超えて、観客に迫ります。
トークセッション「ビデオ作家は、いま何をしているのか」
ここではビデオアーティストの表現を、上記プログラムへの返答として、あるいは次の展開として提示します。トークセッションはそうした検証と提言の「場」になるはずです。 |